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コンサルタントコラム

最近、お客様や友人経営者から偶然にも、こんな相談を続けて受けました。
「お前どんだけこっちが気を使ってると思ってんだよ」という部下が、「辞めたい」とか「仕事つまんない」とか言い始めてイラッとしたという内容です。
部下を持つ方はほぼ間違いなく経験があると思います。
当然、私もあります。
そして、10年経営をした結果みえてきた、こういう考え方でいれば良いのねというのを、今日はご紹介したいと思います。
結論から言いますと、「上司は部下にとって、やめられないゲームたれ」ということです。
スマホをほぼみんなが持つようになった昨今、何らかの形でゲームをプレイしたことがある人がほとんどなのではないでしょうか。
実は私も大のゲーム好きでして、様々なゲームをこれまでプレイしてきました。
その経験上、長続きしない、つまりはつまらないゲームの特長はこんな感じです。
・クリアしないといけない内容が難しすぎる
・クリアしないといけない内容が簡単過ぎる
・ルール、操作方法が難しすぎる
順に説明します。
・クリアしないといけない内容が難しすぎる
→説明不要かもしれませんが、難しすぎて挫折してしまうということですね。マリオの8面みたいな感じです。
・クリアしないといけない内容が簡単過ぎる
→あまりゲームをやらない方はわからない感覚かもしれないですが、色々ヒントが提示されて頭を使って謎を解かなくて良かったり、敵があまり強くなかったりというのはサクサク進めて面白いかと思いきや、つまらないんですね。
・ルール、操作方法が難しすぎる
→例えば自分がプレイしているゲームが、難解な操作をマスター出来なければ勝てないというゲームだったらどうでしょうか。その操作方法をマスターする前に止めてしまわないでしょうか。またゲームのルールが難解な場合も、のめり込みづらいというのは説明不要でしょう。
つまり、逆を言うと、長続きできるゲームとは、
・難易度が程よく、ルール、操作方法が明確である
という事に尽きます。
大ヒットしたパズドラもそうですよね。ボールを動かすだけの操作でステージをクリアするごとに少しずつ少しずつ難易度が上がっていく。
そして、そもそもなぜ人はゲームにハマるのかというと、ステージをクリアする達成感を味わえるからです。
マリオも同じ面を繰り返しやらされても面白くありません。
一つのステージをクリアしたら、次に少し難しくなった新しいステージが出てくる。
そして、そこもクリアする。
そうやって少しずつ難しいことをクリアすることが楽しいわけです。
そして、そのような達成感を味わいたいという本能は、人間が生来持っているものだと思います。
この人間の本能をいかにくすぐるかにマネジメントの真髄があると、私は考えています。
ここで、気を使ってる部下が「辞めたい」とか「仕事がつまらない」とか言いだした、上司と部下の関係に話を戻します。
つまらないゲームのポイントを仕事にあてはめて考えてみます。
上司は気を使ってるわけですから、おそらく、クリアしないといけない内容が難しすぎるということは発生していないでしょう。
難しすぎる内容を部下に与えるということは、ある種丸投げのような状態のはず。つまり、上司が部下に対し、気を使ってると思うことはあまりないと思います。
そうすると、部下がそのようなことを言い出す原因の可能性は残りの2つです。
・クリアしないといけない内容が簡単過ぎる → 与えられている仕事が簡単過ぎる
読んだままなのですが、部下が仕事を簡単すぎると思っている可能性があるということです。
「仕事が出来ないから簡単な仕事を与えている」という反論があるかもしれません。
つまり、簡単な仕事を与えるという気を、上司は使っているわけです。
だから、部下が仕事がつまらないとか言うと腹が立ちます。
この場合、部下の頭の中はこうです。「こんな仕事簡単。つまらない。本気でやる必要もない。」
言葉通りではないかもしれないですが、潜在的にそういう意識で仕事に臨んでいる可能性が高いわけです。
「クリアしても達成感を味わえないようなことに本気を出せるか。」というわけです。
まとめるとこうです。
上司が気を使ってるポイント:簡単な仕事を与えること
部下の受け取り方:「簡単すぎて本気出したくない」「自分だけ別の簡単なゲームをやらされて本気になれない」
2つ目の可能性です。
・ルール、操作方法が難しすぎる → 上司の言うことが変わりすぎ、教え方が細かすぎ
部下にとってのルールは上司です。
なぜなら、普通の社会人であれば上司に従うことをまずは考えて働きます。
また、上司の操作方法(どういうときにどういう反応を返してくるか)を常に部下は把握したいのは言わずもがなでしょう。
つまり、部下にとって上司はゲームのルールや操作方法が書いた取扱説明書なわけです。
しかし、この説明書に書いてあることがコロコロ変わるとどうか。当然、説明書を無視し始めます。
それが、プレイヤーのことを思って、こう操作した方がスムーズでプレイしやすいはず!という親切心がゆえでもです。
また、内容が事細かすぎても説明書がどんどん分厚くなるから読まなくなるでしょう。これも、親切心がゆえでもです。
まとめるとこうです。
上司が気を使ってるポイント:丁寧に事細かに色々と教えてあげること
部下の受け取り方:「微妙にこの前と言ってること違くない?」「そんなに細かくなくても自分で考えられるんだけど」
これが、気を使っていたはずの部下から仕事を辞めたいとか、仕事がつまらないと言われた時に起こっている構図です。
仕事が簡単すぎることと、上司の言うことが変わり過ぎると思われることの両方に影響する上司の行動に、一緒に飲みに行ったりしすぎて距離感を近づけすぎるというのもあります。
距離感を近づけすぎると、次のステージが読めるようになりますからゲームは簡単になります。
もしくは、距離感を適度にキープできたとしても、色々コミュニケーションが増えることで、前と言ってたことが違うと思われることが増えたり、部下にとっての予想外の反応をすることもあったりと、ルール、操作方法がわからない上司となりやすくなります。
部下と飲みに行くなとは言いませんが、プラスの効果があるのは全く信頼関係のない殺伐とした職場を改善するところまで。
一般的な普通の職場にまでなってからは、むしろ弊害の方が多いと、自分の経験としても色んな現場を見ても思います。
では、どうするか。
まず、自分をゲームプランナーだと思いましょう。
決して、一緒にゲームに参加してはダメです。上司と部下はマリオとルイージではないのです。
どの難易度がこのプレイヤー、部下が達成感を感じられるか慎重に見極めましょう。
そして、必ずステージをクリアしたかどうかを判定しましょう。
マリオのステージも制限時間があるように、判定をするには制限時間が必要です。
朝礼、週次会議など、適切なタイミングで定例会(定例会も決めたら固定が絶対です。マリオのステージの制限時間やサッカーゲームの試合時間がコロコロ変わるとゲームに集中、熱中できますか?という話です)を設定し、部下がクリアしたかどうかを判定しましょう。
判定時間が到来するまでは口出しはNGです。マリオをプレイしながらここでジャンプとか言われたり、ここからジャンプがAではなくBになります。なんて横で言われたら・・・想像つきますよね。クリアできないのは上司のせいになりますし、やる気も削がれます。
クリアしたらおめでとうと褒めて少し難しいステージを用意し、クリアできてなかったら、またチャレンジさせましょう。
これを繰り返すことです。
そんなうまくいくかなという反論があると思います。
このマネジメントをスタートするカギは一番最初のステージを設定すること。
つまり、そもそもゲームをプレイしてもらうことです。
ゲームステージつまりは達成感を感じられる目標の設定ですが、達成感を感じられるレベル感なわけなので、当然ながら少し難し目です。
そして、上記のような部下が仕事に対してネガティブな上下関係になっていたら、当然関係性は良好ではなく、少し難し目の目標設定を与えると反抗されそうなイメージが湧くのではないでしょうか?
ですが・・・普段ゲームをやらない女の子に「やってみる?」とコントローラを渡したときの反応ってどうでしょうか?
「えぇ~、無理だよ~。」
でも、結局やるんです(いきなりマリオの8面とかで渡さない限り)。
しかも、
「ジャンプってどれだっけ?こう?」
なんて聞いても来ます。
これと同じです。
「はぁ?そんなの無理ですよ。」
「お前なら出来るって、やってみ。」
後は放置。すると・・・
「ちょっとお時間良いですか?」
なんて相談が必ず来ます。
適切なレベルのステージからゲームスタートしている限り、人間の本能が達成感を味わうためにフル稼働し始めるのです。
これが回り始めれば、定例会議でクリアできたかどうか判定して、次のステージを部下がプレイしている間は上司は放置、となりますので、上司は部下に過度に気を使うことは起こりません。
また、部下はゲームに集中できるようになりますので、生産性の向上が見込めます。
そして、生産性が向上してくれば達成感を味わっているはずですから、仕事がつまらないとか辞めたいということが減っていきます。
上司はゲームクリエイターになったつもりで部下に仕事というゲームに没頭させるべし。
意外かもしれませんが、部下に過度に気を使い、どちらが上司かわからなくなってるような方はたくさんいます。
こちらの内容がそんな方の参考になれば幸いです。
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