- HOME
- コンサルタントコラム
- 営業のモチベーション低下の原因と効果的な高め方9選!チーム全体の成果を上げる施策も紹介
コンサルタントコラム

営業組織の成果を大きく左右する要因のひとつが「モチベーション」です。
どれだけ優れた営業戦略やスクリプトがあっても、現場で実行する営業担当者のやる気が低ければ、期待する成果にはつながりません。
しかし、営業という仕事は、数字に追われるプレッシャーや断られ続けるストレスなど、モチベーションが下がりやすい環境にあるのも事実です。
本コラムでは、営業担当者のモチベーションが低下する原因を明らかにし、それに対してどのようなアプローチで回復・向上を図るべきかを詳しく解説します。
個人の意識改革だけでなく、チーム全体として取り組むべき施策や、外部の力を借りたサポート方法まで、現場で実践できる“効果的な高め方9選”を紹介します。
モチベーションを再点火させ、営業成果を最大化したい方はぜひご一読ください。
目次
営業担当者のモチベーションが低下する主な原因
営業の現場では、日々の行動が数値として明確に評価される一方で、精神的な負担も大きくなりがちです。
成果が出ない、評価されない、フィードバックがない――
こうした状況が続くと、どんな優秀な営業パーソンでもモチベーションは低下します。
ここでは、営業担当者のやる気を奪ってしまう代表的な要因を5つに分けて解説します。
目標設定が明確でない
営業活動の出発点となるのが「目標」です。
しかし、その目標が曖昧だったり、達成困難な数値が一方的に押し付けられていたりすると、営業担当者は方向性を見失いがちです。
「何を」「いつまでに」「どのように」達成すべきかが具体的でないと、日々の業務が単なる作業になり、成長実感を得ることもできません。
モチベーションは「進捗感」から生まれます。
目標が明確でないことで、その進捗すら可視化されず、やる気が徐々に萎えていくのです。
成果に対する評価・フィードバックが不足している
営業職は成果主義で評価されることが多い反面、日々の努力や小さな達成に対して正当な評価やフィードバックがされていない職場も少なくありません。
「頑張っても報われない」という感覚が続くと、社員は次第に努力を惜しむようになり、モチベーションの低下につながります。
特に、数字として現れにくい中間プロセスや、顧客との関係構築といった“目に見えにくい成果”を適切に評価する仕組みがないと、営業担当者のやる気を損なう原因となります。
営業活動の成果が見えにくい
営業は「結果がすべて」と言われることもありますが、結果が出るまでにはプロセスがあり、その中には小さな成功体験や工夫があります。
これらが見えづらい組織では、担当者自身が「自分は意味のある仕事をしているのか」と疑問を持ち、自己肯定感が下がってしまいます。
また、CRMやSFAなどの仕組みが整備されていない場合、過去の成果や活動の記録が共有されず、モチベーションの源泉である「達成感」を感じにくくなってしまいます。
営業ノウハウの属人化
営業の現場では、「できる人は勝手にできる」という風土が根強く残っている企業もあります。
このような環境では、成功している営業パーソンのノウハウが共有されず、他のメンバーが独自にやり方を模索し続けることになります。
結果として、再現性のない属人的な営業スタイルが蔓延し、成績が上がらない社員は孤立しやすくなります。
「どう頑張ればいいかがわからない」という状態が続けば、モチベーションは当然ながら低下します。
断られ続けることによる心理的負担
営業活動において避けて通れないのが「断られること」です。
特に新規開拓やテレアポなどでは、何十件と連絡を取っても返答すら得られないことも珍しくありません。
この「拒絶体験」が繰り返されると、担当者は徐々に自己肯定感を失い、ストレスを溜め込みます。
また、精神的なケアがない職場では、「自分は向いていないのでは」と思い詰めてしまうこともあります。
断られること自体は営業の一部ですが、それに対して適切なフォローや切り替えの方法が提示されていない場合、モチベーションの低下は避けられません。
営業担当者のモチベーションが低下するとどうなる?
営業担当者のモチベーションが低下すると、その影響は個人だけにとどまらず、組織全体、さらには顧客との関係性にまで波及します。
モチベーションは「やる気」と捉えられがちですが、実際には行動量・思考の質・対人対応にまで大きな影響を与える要素です。
この章では、モチベーション低下がもたらす4つの重大なリスクを整理します。
営業成績の低下
まず最も直接的な影響が「営業成績の低下」です。
モチベーションが下がると、アクション量が減少し、訪問・架電・メールの件数が落ち込みます。
それに伴い、アポイント数・商談数も減り、当然ながら受注数も減少します。
さらに、やる気がない状態ではヒアリングや提案の精度も下がり、「数字は追っているのに結果が出ない」という悪循環に陥ることも。
これは個人だけでなく、チーム全体の業績にも影響するため、早期の察知と対応が重要です。
離職率の上昇
営業職は、他の職種と比べて離職率が高いと言われていますが、その大きな要因の一つが「モチベーションの継続困難」です。
成果が出ない、努力が報われない、自分が評価されない――
こうした状況が続くと、担当者は「このままここで頑張っても意味がない」と感じてしまいます。
また、心理的に追い込まれてしまった場合には、営業職そのものに嫌悪感を抱き、業界を去るケースもあります。
組織にとっては人材の流出は大きな損失であり、育成コストや採用コストが無駄になってしまうだけでなく、ノウハウの継承にも大きな支障をきたします。
チーム全体のパフォーマンス低下
モチベーションの低下は、個人だけでなくチーム全体の士気にも影響を与えます。
特に営業チームは、個人の成果が可視化されやすい環境にあるため、一部のメンバーが落ち込んでいると、それが空気感として他のメンバーにも伝染します。
また、「頑張っても評価されない」「どうせ無理だ」といったネガティブな言動が蔓延すると、チームの活気が失われ、互いのフォローやナレッジシェアも起こりにくくなります。
結果として、組織全体の営業効率が落ち、マネージャーの管理工数も増大します。
顧客満足度の低下
営業担当者のモチベーションが低い状態では、当然ながら顧客対応の質にも影響が出ます。
レスポンスが遅れる、提案が雑になる、フォローが不足する――
こうした状況が続けば、顧客は「この会社は本気で自社の課題に向き合ってくれない」と感じ、信頼を失います。
特に既存顧客との関係維持においては、担当者の対応一つがリピート率やアップセルの有無を左右するため、モチベーション低下は売上の維持にも直結する問題です。
また、口コミや紹介といった営業効果も損なわれることになり、長期的なブランド価値にも影響を及ぼします。
営業担当者の個人モチベーションを高める方法5選
営業担当者のモチベーションは、放っておけば自然に高まるものではなく、日々の業務の中で意図的に育てていく必要があります。
ここでは、営業パーソンが自らのやる気を維持・向上させるために効果的な5つの具体的手法を紹介します。
個々の成長を促し、継続的な成果につなげるための実践策としてぜひ参考にしてください。
①具体的で達成可能な目標設定
モチベーションの源泉のひとつは「目標」です。
ただし、漠然としたゴールや、現実離れした高すぎる数値目標では、かえって逆効果になることもあります。
重要なのは、「自分が本気で達成できると思える目標」を設定することです。
たとえば、1ヶ月後の受注件数だけでなく、「1週間で◯件アポ取得」「1日◯件架電」など、行動ベースの目標を細かく設けることで、達成の感覚を得やすくなります。
短期的な成功を実感できる目標の積み重ねが、長期的なモチベーション維持につながります。
②成功体験を積み重ねる仕組みづくり
営業の現場では「断られる経験」が多いため、意識的に「成功体験」を設計することが不可欠です。
小さな成果を見逃さず、周囲が承認してあげる仕組みがあることで、本人の自信は育まれます。
たとえば、初アポ取得や初提案成功、クロージングのトライなど、段階的に設定されたマイルストーンを設定し、そこをクリアしたらチーム内でシェア・称賛する文化を作ると良いでしょう。
本人の「やればできる」という実感が、次の挑戦への原動力になります。
③スキルアップ・成長機会の提供
人は「成長実感」があるときにやる気が高まります。
営業担当者も例外ではなく、スキルアップのチャンスが与えられることで、自己肯定感と将来への期待が強化されます。
たとえば、営業トークのトレーニング、商談ロールプレイ、プレゼン研修、外部セミナーへの参加、資格取得支援など、スキルを磨ける環境を整えることで、社員は「自分の市場価値が高まっている」と感じやすくなります。
加えて、習得したスキルを即実践で試す場を用意することも、モチベーション維持において有効です。
④断られた時のメンタル管理方法
営業活動において避けられないのが「断られること」です。
この経験が続くと、精神的に疲弊し、モチベーションは大きく削がれます。
だからこそ、断られた際の「気持ちの切り替え方」をマスターすることが重要です。
たとえば、チーム内で「断られ報告」を共有することで「自分だけじゃない」と安心できたり、「次の1件で切り替える」とルールを決めておいたりするだけでも、心理的負担は軽減されます。
また、マインドセットの研修やメンタルトレーニングなど、組織的な支援があると、より高い効果が見込めます。
⑤自己効力感を高める自己評価の習慣化
モチベーションを高めるうえで、自分の行動を「自分で認める」習慣も極めて重要です。
たとえば、「今日はアポが1件も取れなかったけれど、◯件しっかりヒアリングできた」「初めて新しいトークスクリプトを試した」など、成果が出ていなくても行動や工夫を振り返り、ポジティブに評価する視点が自己効力感を支えます。
毎日、簡単な業務日報や“今日の良かったこと3つ”を書く習慣を取り入れると、営業パーソンの思考は前向きに変化しやすくなります。
こうしたセルフレビューの積み重ねが、困難な状況でも前を向ける力となり、継続的なモチベーションの源になります。
営業チーム全体のモチベーションを高める方法4選
営業組織の成果は、個々の努力だけでなく、チームとしての一体感や雰囲気によって大きく左右されます。
どれほど優秀な人材が揃っていても、チーム全体のモチベーションが低ければ、組織としての成果にはつながりません。
ここでは、営業チーム全体のやる気と活気を高め、パフォーマンス向上につなげる4つの施策を紹介します。
①インセンティブ制度の導入・見直し
モチベーションの維持・向上において「報酬」は非常に大きな要素です。
営業職は特に成果が可視化されやすいため、成果に応じたインセンティブ制度の設計が重要です。
また、トップ層ばかりが報われる構造ではなく、「前月比成長率」や「努力賞」など、誰もが目指せるインセンティブを設けることで、チーム全体の活性化が図れます。
制度は一度作って終わりではなく、現場の声をもとに定期的に見直すことも忘れてはいけません。
②チーム内コミュニケーションの活性化
モチベーションの源は「孤独を感じないこと」にもあります。
営業は基本的に個人プレーの要素が強いため、孤立感や閉塞感を抱きやすい職種です。
そのため、チーム内での情報共有や雑談、相互フィードバックの機会を意識的に設けることが、心理的安全性を保ち、前向きな空気を生み出します。
たとえば、朝会・夕会での進捗共有、Slackなどのチャットでの軽いやりとり、1on1ミーティングによる定期的な対話などが効果的です。
また、成功や失敗を共有する文化が育つと、ナレッジの共有だけでなく、「一緒に乗り越えている」という連帯感も生まれます。
③ロープレなどの実践的トレーニング
営業チームのモチベーションを高めるには、「できるようになる感覚」を持たせることが効果的です。
そのためには、座学だけでなく、実践型のトレーニング、特にロールプレイングが有効です。
たとえば、実際の商談を想定したロープレを行い、上司や同僚がフィードバックすることで、個々の課題が明確になり、改善への意欲が湧いてきます。
トレーニング後に「できるようになった」と感じる成功体験を持たせることが、自信となり、実務への前向きな姿勢につながります。
また、チームメンバー同士が互いに教え合う形式にすれば、自然とコミュニケーションも活性化し、チームの結束力も高まります。
④成功事例の共有・表彰制度の導入
「誰かの成功はチームの財産」——この考えを徹底することが、チームモチベーションを高める大きなカギです。
営業活動では、業界や顧客によって成功パターンが異なるため、各自の成功事例を共有することで、他のメンバーのヒントになり、再現性あるナレッジが蓄積されていきます。
さらに、その成功事例を単に共有するだけでなく、「月間MVP」「改善賞」「新人賞」などの表彰制度を導入することで、メンバーの努力をチーム全体で称え合う文化が醸成されます。
表彰は金銭的インセンティブに限らず、称賛や承認そのものが強いモチベーション源となり得るのです。
営業のモチベーション向上に成功した企業事例
ある研修サービス提供企業では以下のようなことが起こっていました。
・営業スタッフは全部で10名だが、20代から50代まで年齢構成がバラバラ
・在籍歴にも差があり、商材も無形商材であることからどのように成約を取っているのかの可視化が難しく営業ノウハウが属人化
・お互いにノウハウ共有が難しいことから、新人営業スタッフの離職率が高く推移
このような状況に対し、以下のような対策を行いました。
・営業手法が属人化しているものの満足な成果を上げることができているメンバーを別のチームとして切り出し、最終成果である売上で評価する体制を構築
・満足な成果を上げられていないメンバーを別チームに束ね、営業手法の共通化に着手
・ロープレや事例共有会を開き、「それぞれが商談で何をやっているかわからない」という状態から、「みんな同じ流れで商談をやっている」という状態を作り出し、ノウハウ共有を促進
これらの対策の結果、若手営業スタッフのノウハウ共有が進んだことで成長が促進され、営業成績が向上しました。
また、同じ悩みを共有できるとともに、一緒にロープレなどで対策を考えられることから離職率も改善しました。
一方、ベテラン勢も若手の育成から解放され、空いた時間をさらなる案件獲得に使えるようになったため売上が伸びました。
営業モチベーションの外部サポートについて
営業組織の課題に対して、すべてを社内の取り組みだけで解決しようとすると、リソースや視野の限界に直面することがあります。
そこで有効なのが、外部の専門家やサービスを活用するという選択肢です。
社外の力を上手に取り入れることで、モチベーションの回復や向上を加速させることが可能です。
社外トレーナーの活用
営業力強化の一環として、外部の営業トレーナーやコンサルタントを招く企業が増えています。
第三者の立場から現状の課題を分析し、客観的なアドバイスやトレーニングを実施することで、社内では気づけなかった改善点が浮き彫りになります。
特に、成果が頭打ちになっている営業チームにとっては、新しい視点や手法に触れることが良い刺激となり、モチベーションの再燃につながります。
また、プロによるスキル指導は「自分はもっとできるようになる」という自信を引き出す効果もあります。
営業代行サービスの活用
もう一つの有効な手段が「営業代行サービス」の活用です。
新規開拓のアポイント取得やリード獲得など、負荷が高くモチベーション低下の原因となりやすい業務を一部外注することで、社内メンバーがコア業務に集中しやすくなります。
とくに、立ち上げ直後や新市場への参入など、営業の負荷が一時的に高まるタイミングで有効です。
適切なパートナーを選定すれば、成果と精神的余裕の両立が可能となり、チーム全体の士気を守ることにもつながります。
営業代行とは?活用のメリットや選ぶ場合のチェックポイントを解説
営業のモチベーションを高めて成果を最大化しよう!
営業担当者のモチベーションは、個人の努力だけでなく、組織の仕組みや環境づくりによって大きく左右されます。
日々の目標設定から評価制度、チームの連携、外部リソースの活用に至るまで、多面的なアプローチが求められます。
本コラムで紹介した施策を実践することで、営業パーソン一人ひとりのやる気を引き出し、チーム全体の成果を最大化することが可能です。
変化の激しい時代だからこそ、モチベーションという「内なる力」を強化し、持続可能な営業組織をつくっていきましょう。
関連記事
-
- 営業ノウハウ
- 2025.03.19
テレアポの成功率は何%?成功率を上げるた…
テレアポ(テレフォンアポイントメント)は、多くの企業が新規顧客を獲得するために活用している営業手法です。 しかし、成功…
-
- 営業ノウハウ
- 2025.03.21
インサイドセールスのメリット 6 選!イ…
インサイドセールスとは? 近年、多くの企業が営業手法の見直しを進める中で、インサイドセールスの重要性が高まっています。…
-
- 営業ノウハウ
- 2025.02.07
インサイドセールスの最適なKPIとその分…
そもそもインサイドセールスとは マーケティング用語の一つとして、インサイドセールスというワードをよく耳にするようになっ…
-
- 営業ノウハウ
- 2025.03.11
営業代行とは?活用のメリットや選ぶ場合の…
若者の営業嫌いがどんどん広まり、社会的なニーズが高まっているとともに、参入障壁も低く、毎年新しく事業を始める企業が出てく…
-
- 営業ノウハウ
- 2025.02.06
パフォーマンスの高いインサイドセールスを…
インサイドセールスとは? マーケティング用語の一つとして、インサイドセールスというワードをよく耳にするようになったかと…
-
- 営業ノウハウ
- 2025.02.18
今日から営業・テレアポ時に心理学を活用!…
営業活動は商談相手との心理戦とも言えます。 であれば、心理学で証明されている理論を活用することで良い結果を導けるかもし…
-
- 営業ノウハウ
- 2025.04.30
インサイト営業とは?従来型との違い・進め…
現代の営業現場では、顧客のニーズを「聞き出す」だけでは成果につながらないケースが増えています。 変化の激しい市場環境で…
-
- 営業ノウハウ
- 2025.01.31
営業商談の流れを解説!オンライン・対面で…
商談の成約率が上がらない...成約を下げている要因と改善のために今すぐできることを紹介! 商談とは 今回は、“商談”…
-
- 営業ノウハウ
- 2025.03.10
いまさら聞けない!インサイドセールスとテ…
昨今、マーケティング用語でよく耳にするインサイドセールスについて、同様によく聞くテレアポとの違いも絡めながら徹底的に解説…
-
- 営業ノウハウ
- 2025.03.21
インサイドセールスのやり方を徹底解説!6…
近年、営業手法の一つとして注目されている「インサイドセールス」。 訪問せずに顧客とコミュニケーションを取り、成約に導く…