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コンサルタントコラム

営業ノウハウ
2025.04.22

実際の動かし方まで解説!営業戦略の立案成功の5ステップとフレームワーク

営業ノウハウ / 大村 康雄

実際の動かし方まで解説!営業戦略の立案成功の5ステップとフレームワーク

目次

営業戦略とは?

昨今、新社会人が営業職を避ける傾向が年々高まっていると聞きます。
現在の20代は物心着いた頃から携帯電話があり、様々なSNSもある世代です。
一昔前のように、友達の実家に電話し、友達のお父さんやお母さんに友達への取次をお願いするということがなく、すぐに目的の相手と連絡が取り合えるのが当たり前となっている世代とも言えます。
そうすると、知らない人とコミュニケーションを取るということに抵抗があるというのも頷け、営業職への苦手意識が高まるというのは時代の流れとして仕方がないことでしょう。
そして、営業職を避ける若者が増えているということは、以下のような企業経営において弊害が出てきています。

・営業が苦手である社員の増加に伴い、営業戦略を立案する能力の低下
・営業が苦手である社員をしっかり営業戦略でマネジメントする重要性の高まり

相反するような状況ですが、今日の企業はこの状況を乗り越えていかなければなりません。
つまり、前置きが長くなりましたが、このような状況を踏まえると、営業戦略とは、“営業に携わる社員全員の認識を統一し、日々迷いなく営業活動に打ち込めるためのもの”でなければならないのです。

 

正しい営業戦略を運用することによるメリット

正しい営業戦略、すなわち“営業に携わる社員全員の認識を統一し、日々迷いなく営業活動に打ち込めるためのもの”という条件を満たす営業戦略が完成した場合、様々なメリットが享受できます。

成約までのイメージが共有できる

正しい営業戦略が完成すると、「どんなニーズを抱えるどのような決裁権がある担当者にどのようなセールスポイントをアピールするのか」というところまでが明確になります。
よって、「そのようなアピールをしたら、相手はデモをやりたいと言うだろうな。」という風にどういう流れで成約になりそうか営業スタッフ全員でイメージできるようになるのです。

ノウハウ共有が容易になる

成約までのイメージが営業スタッフ全員で共有できると、各営業スタッフが行う商談の中身が似てきます。
なぜなら、次にどういうステップを踏むべきかのイメージが共有されてますから、そこに到達するように商談を進めるようになるからです。
そうすると、「私はこういう言い回しをしたら、すんなりデモの依頼をもらえたよ。」と、自分以外の営業スタッフの成功事例がすんなりと落とし込みやすくなり、営業チーム内でのノウハウ共有がスムーズになります。

新人育成がスムーズになる

新人営業スタッフが配属された際、先輩営業スタッフの営業のやり方が個々人でバラバラだと誰を参考にすればいいかわかりません。
しかし、正しい営業戦略が運用されていれば、先輩営業スタッフの営業のやり方が共通してくるはずで、新人営業スタッフが混乱することなく、それを学ぶことができます。
いわゆる“営業の型”が完成している状態になり、新人にはその型を覚えさせることで育成がスムーズになります。

営業資料が強力になる

正しい営業戦略にて営業が行われると営業スタッフの営業スタイルが共通化してきます。
そうすると、「この場面ではこう言ったほうがより伝わるよね。」というような全営業スタッフが賛同するようなノウハウも出てきます。
このようなノウハウをノウハウに留めるのではなく、営業資料に文字として落とし込んでいくことで、確実に商談時に商談相手が目にすることになり、言い忘れや商談の展開上伝えられなかったという事態を防ぐことができます。

このように営業資料が強力になっていくことで、営業チーム全体も強力になっていきます。

 

営業戦略を立てる下準備としての5つのステップ

現状を分析する

正しい営業戦略を運用する前と後での大きな違いは、営業スタッフ全員が没個性とも言える状態で共通化された営業活動を行っていくことです。
ですので、現状の営業チームの状況として、相手に合わせて柔軟に提案内容や成約までの流れを考案し、売上を上げられる営業スタッフが多数いるのであれば正しい営業戦略の導入は逆に彼らの手足を縛り、マイナスになる恐れもあります。

正しい営業戦略を導入するタイミングが今なのか、また、ベテラン営業スタッフは対象から外し、中堅以下のみを対象にするのかなど、正しい営業戦略をきちんと機能させるために、自社内の状況をきちんと分析することが重要です。

目標を設定する

次に、正しい営業戦略を導入することを決めたら、その営業戦略の目標を決定する必要があります。
一般的には売上・成約の獲得が目標になるケースが多いかと思いますが、高度なコンサルティングや大型のシステム導入プロジェクトなど、新人はもちろん中堅クラスの営業スタッフでは成約までなかなかたどり着けない商材も世の中には存在します。

そのような場合は、例えば、提案依頼を獲得する、というところまでを営業戦略上の目標とし、それ以降の成約までの対応はベテラン営業スタッフの経験に委ねるという方法もあります。
このように、一概に成約を獲得することだけが目標ではないことがポイントです。

ペルソナを設定する

目標を決めたら、実際にどのような方を相手としてその目標を達成するのかということを考えます。
いわゆるペルソナの設計ですが、BtoCとBtoBでは少し粒度に違いがあります。

BtoCの場合

BtoCの場合は感情のゆらぎも成約に大きく左右します。
そのため、年齢や趣味嗜好など、あたかも実在する人かのようにペルソナの設計が必要です。
これにより、こちらの提案内容が相手のニーズに合致しているか、という点以外にも「このような提案をしたら感動してくれそう」などといったより細かいイメージを膨らませることができます。

BtoBの場合

一方、BtoBでは、感情で決裁するというケースはあまり多くなく、提案内容と相手企業が満たしたいニーズや将来のビジョンが合致しているかが重要になってきます。
そして、企業が抱えるニーズや将来のビジョンは企業規模や業種などによって変わってきます。
そのため、ペルソナを考える際は、「業種が何で、売上がいくらくらいで、従業員数がどれくらいで、どこの部署のどういう領域を担当している方」という形で、企業のペルソナに重点を置きます。
人の部分に関しては「どのような部署で何をしている人なのか」程度で十分です。
この企業側を精緻にイメージすることで、実際に営業を実行する際にどのようなアタックリストを作ればよいのかということもわかってきます。

カスタマージャーニーを作成する

カスタマージャーニーとは、設定したペルソナが実際に自社と同様のサービスや商品を、利用・購入する際、最初の接点からそのサービス、商品を使い終わるまでどのような経験をしていくかを書き出したものです。
これを行うことで、これから獲得しようとする見込み顧客の意思決定から自社商材を利用しているときに感じていることなどを推測することができます。

そして、その効果として、自社商材の特長とカスタマージャーニーを照らし合わせることで、
「一般的に、この部分ではこういうマイナスなことが起こるけど、我々の商品であればそれはないのでは?」と、自社商材のアピールポイント、差別化ポイントを見つけるきっかけになります。

KPIを設定する

営業戦略の目標を成約の獲得としたとして、商材によっては初回商談で成約を取ることが事実上不可能なものもあります。
具体例を挙げると、デザイン案件やシステム開発案件などはオーダーメイドで提案をしていかなければならず、「はじめまして」という商談でそのまま成約になることはありえません。

このような場合、中間目標をKPIとして設定する必要があります。
この例で言うと、オーダーメイドで提案をしなければいけないわけですから、“提案依頼を獲得する”ということをKPIとしてカウントしていきます。
そうすると、「大体3件提案すると1件決まる」という傾向が見えてくるようになり、営業成績の先読みができるようになります。
また、売上が落ち込む際はその前工程として提案依頼が落ち込むはずですから、売上に響く前に不調が起きてることが察知できるといった効果があります。

 

営業戦略の作り方

実際に、営業戦略を作成してみましょう。作成に際しては3つの方法があります。

伸ばしたい事業がある場合

伸ばしていきたい事業がある場合、以下の順に考えてください。

①その事業の製品・サービスはなにか?
②その製品・サービスが満たすことができるお客様のニーズはなにか?
③そのようなお客様のニーズが潜んでいるのはどのようなターゲットか?
④類似・競合製品との差別化ポイントはどこか?

取引したいターゲット像がある場合

取引を広げていきたいターゲットがある場合、以下の順に考えてください。

①取引を広げていきたいターゲット像はどこか?
②そのターゲット像に潜んでいるニーズはなにか?
③そのニーズを満たすことができる自社の製品・サービスはなにか?
④類似・競合製品との差別化ポイントはどこか?

伸ばしたい事業も取引したいターゲット像も不明確な場合

企業によっては、取り扱っている商材が幅広く、また、成約するならターゲットにこだわりがないというところもあると思います。
そのような場合は、以下の順に考えてください。

①同業他社と比べて自社のユニークな点はどこか?
②ユニークな点をポジティブにとらえてくれるのはどのようなターゲットか?
③そのターゲットに潜んでいるニーズはなにか?
④そのニーズを満たすことができる自社の製品・サービスはなにか?

 

営業戦略作成実例

実際に、とある企業を題材に営業戦略を作成してみましょう。上から順番に考えていることがポイントです。

企業例①

創業から30年の広告クリエイティブ制作会社。
従業員数は100名ほど在籍しており、クライアントには知名度が高い大手企業も多数存在している。
昨今、SNS関連の事業に力を入れており、SNSと親和性の高そうな飲食店展開企業との取引を増やしていきたいと思っている。

伸ばしたい事業がある場合の実例

項目
その事業の製品・サービスはなにか? SNS運用代行
その製品・サービスが満たすことができるお客様のニーズはなにか? SNS運用の手間を省きたい
そのようなお客様のニーズが潜んでいるのはどのようなターゲットか? 飲食店展開企業
類似・競合製品との差別化ポイントはどこか? 大手企業の広告も手掛けるクオリティの高さでデザイン性の高い発信をすることができる[村玲1]

 

取引したいターゲット像がある場合の実例

項目
取引を広げていきたいターゲット像はどこか? 飲食店展開企業
そのターゲット像に潜んでいるニーズはなにか? 来店者を増やしたい
そのニーズを満たすことができる自社の製品・サービスはなにか? SNS運用代行
類似・競合製品との差別化ポイントはどこか? 大手企業の広告も手掛けるクオリティの高さでデザイン性の高い発信をすることができる

 

伸ばしたい事業も取引したいターゲット像も不明確な場合の実例

項目
同業他社と比べて自社のユニークな点はどこか? 創業30年と業歴が長く、大手企業との取引で培われた品質の高さ
ユニークな点をポジティブにとらえてくれるのはどのようなターゲットか? 飲食店展開企業
そのターゲットに潜んでいるニーズはなにか? 来店者を増やしたい
そのニーズを満たすことができる自社の製品・サービスはなにか? SNS運用代行

 

実際には、各企業「この事業伸ばさなきゃな」ですとか、「この業界を深耕しないとな」と、営業戦略構築に着手した段階でこの3つのうちどれかの状況に当てはまっているはずであり、このように3つ全ての方法で営業戦略を組み上げることは滅多にないでしょう。
ですが、このように入口はどこからでも、同じように営業戦略を組み上げることが可能であり、重要なのは、商品・サービス、ニーズ、ターゲット、差別化ポイントという各要素の整合性であるということを認識してください。

 

よくある営業戦略の失敗例

「うちは営業戦略はすでにある!」とお思いの方もいらっしゃると思いますが、今一度このようなことが起こってないか確認してみて下さい。

戦略ではなく方針になっている

前述のように、営業戦略とは、商品・サービス、ニーズ、ターゲット、差別化ポイントの整合性が確立されていることです。
よって、「この商品を売っていこう!」「この業界に攻めていこう!」「この点をもっとアピールしていこう!」といったものは戦略ではなく、方針です。

各営業スタッフによって解釈のズレが起こっている

営業戦略ではなく、営業方針の結果、整合性の確立は各営業スタッフに委ねられます。
そのため、各営業スタッフで想定するターゲットやアピールするポイントがずれていき、営業スタッフ間の自社の営業戦略の解釈がずれていきます。

自社の強みの認識がバラバラ

営業戦略の解釈がずれていくと、成約に至る流れもずれていきます。
よって、どこをアピールして成約に至るのかも各営業スタッフに委ねられることになり、結果として、自社の強みがどこにあるのかという理解も揃わなくなっていきます。

 

不完全な営業戦略を放置することの危険性

不完全な営業戦略でも売上が上がっているなら良いじゃないかという意見もあるかもしれません。
ですが、不完全な営業戦略を放置すると、いずれこのような問題が発生していきます。

営業手法が属人的になる

営業スタッフ間で営業戦略の解釈のズレが生まれ、自社の強みの認識も揃わなくなっていきますから、結果的に営業のやり方が各営業スタッフでバラバラになっていきます。

自分が会社を支えているという勘違い営業スタッフの発生

営業手法がバラバラになっても売上を上げ続けている営業スタッフは、その境地に自らの努力でたどり着いた人です。
そうすると、会社の支援のお陰ではなく、自分のお陰で自分は売れている、自分のお陰で会社が成り立っているという意識を持つ営業スタッフが発生する恐れがあります。
「営業成績が良い営業スタッフの遅刻が増えだした」などということが起こったら、その兆候です。

新人が育たない

先輩営業スタッフの営業手法がバラバラなわけですから、新人が育ちにくくなります。
当然、マニュアルもないか、あっても時代遅れで誰もマニュアル通りに営業していないという状況なので、育たないどころか早期離職の危険性もあります。

売上が上がらない

結果として、これまで順調だったとしても、成果を出していた営業スタッフの退職、勘違いして横柄になった営業スタッフの反乱、新人の早期離職など、営業戦略が不完全なことによる営業が少しずつ営業チームを蝕んでいき、最終的に売上が上がらなくなっていきます。

 

営業戦略が満たさなければならない要件作成のポイント

営業戦略がいかに重要かがわかったところで、営業戦略を作成した際にその営業戦略が有効かどうか確認するポイントをご紹介します。

ターゲットが具体的であること

ペルソナのところで触れましたが、ターゲットを具体的にイメージすることが重要です。
特にBtoBではアタックリストを作り、テレアポやDMなどで営業を仕掛ける必要があります。
そのリストを作るためには、業種や売上規模、従業員規模といった具体性が必須です。

差別化ポイントが客観的事実に基づいていること

「品質に自信があります!」と言われても「どこも言ってるよね。」と感じないでしょうか?
このように、人は主観的表現でのアピールに対してはネガティブに受け止めがちです。
「平均95%のお客様がリピートしています!」などと、事実ベースで紹介できるように差別化ポイントは設計しましょう。

営業スタッフ間で認識の相違が出ないこと

特に差別化ポイントについてですが、営業スタッフ間で認識にズレがある場合、商談でアピールすることが当然ながらズレてしまいます。
そうすると、商談の進め方、2回目の商談の中身もズレていきます。
営業戦略を立案した際には、前営業スタッフが納得している状態で動き始めましょう。

 

営業戦略の落とし込み方

正しい営業戦略を完成させたら、それを実行に移すべく以下のように落とし込んでいってください。

営業資料への落とし込み

ペルソナ設計でどんな人と商談をするかがわかりました。
また、商材や差別化ポイントも統一したことで、「初回商談でこの商品を売るためにこういうアピールをするということは、次は提案書を依頼されるな」というふうに成約までの流れもイメージできるようになりました。

これらを営業資料に落とし込みます。
具体的には、「総務部長さんに特にオーダーを頂いています。」「お気軽に提案書をご用命ください。中3営業日でご提出できます。」というように、ターゲットや次のステップを明確にしたコピーを入れることができるようになります。

マーケティング施策への落とし込み

正しい営業戦略が完成したことで、ペルソナ設計をしたターゲットがよく見るメディアは何なのか、また、差別化ポイントがそのメディアできちんと表現されているか、といった点を見直すことができるようになります。
また、反応が悪い場合もアイディアベースでやみくもに手を加えるのではなく、営業戦略に立ち戻り、「当社のターゲットがよく見るメディアは〇〇ではなく、✕✕かもしれない」と、きちんとしたPDCAを回せるようになります。

日々のトレーニングへの落とし込み

正しい営業戦略ができるということは、初回商談にて“どんな方と商談し、何をアピールして、どんな約束をして商談を終えるのか”が明確になるということです。
そうすると、営業ロープレにて、そのような商談をできるようになるという明確な目標を持つことができ、トレーニングの質が向上します。

 

まとめ:正しい営業戦略なくして営業チームの発展なし

いかがでしょうか?
ここまでお読みいただいた方は、正しい営業戦略の重要性とその効果が痛いほどよくわかったのではないでしょうか?

正しい営業戦略がなくても営業がうまく言っている場合、それは一過性のものです。
いずれ壁にぶつかり、売上は下がっていきます。
ぜひ、一日でも早く正しい営業戦略を確立し、強力な営業チームを作っていってください。

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