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コンサルタントコラム

営業ノウハウ
2025.02.07

インサイドセールスの最適なKPIとその分析方法

営業ノウハウ / 大村 康雄

インサイドセールスの最適なKPIとその分析方法

そもそもインサイドセールスとは

マーケティング用語の一つとして、インサイドセールスというワードをよく耳にするようになったかと思います。
その意味合いですが、インサイド=中、セールス=営業、ということで、社内にいながら営業を行うチームのことを意味します。

新型コロナ前は営業スタッフは顧客のところに訪問するのが一般的でしたから、外回りの営業スタッフのことをフィールドセールスと呼び、その対になる言葉としてインサイドセールスと言われていました。

昨今では、フィールドセールスも社内からオンラインで商談することが増え、どちらもインサイド(中)にいることになっているわけですが、契約を迫る商談を行う営業機能のことをフィールドセールス、そこに至るまでのサポートのことをインサイドセールスと呼ぶのが一般的になっています。

インサイドセールスの主な役割

インサイドセールスには主に3つの役割があります。

マーケティング担当者としての役割

1つ目が、フィールドセールスに商談を設定するというマーケティング担当者としての役割です。
フィールドセールスの予定が空きすぎないよう、コンスタントにアポイントを設定し、フィールドセールスが常に商談を行っている状態を維持することがミッションです。

フィールドセールスのサポートとしての役割

次の役割が、フィールドセールスのアシスタントという位置づけという役割です。
フィールドセールスが商談をした際、すぐに案件化しない商談も発生します。そのような商談を後日フォローし、その後の状況を伺うとともに、再度の商談につなげるという役割です。
これにより、フィールドセールスが忙しさにかまけてフォローを忘れたり、商談のイメージが良くなくフォローするのが億劫になる事による案件の消滅を防ぐことができます。

フィールドセールスのアドバイザーとしての役割

最後の役割は、経験を積んだインサイドセールススタッフが担える役割です。
経験を積み、フィールドセールスがどのような商談を行っているのかを理解するようになると、アポイントを取得した段階で先方の状況を一定程度把握し、フィールドセールスに対して、「このような商談になりそうだから、こういう準備をしといた方が良さそうです。」というアドバイスをできるようになります。
更にそのアドバイスが的確になってくれば、フィールドセールスからは絶大な信頼を得ることができます。

インサイドセールスが必要な理由

このような役割を担うインサイドセールスですが、そもそもなぜ必要なのでしょうか?
考えられる理由は主に3つあります。

・フィールドセールスに商談に集中してもらいたいから
・アポイント取得業務は時間の割に成果が乏しいから
・アポイント取得業務を嫌がる営業スタッフが増えているから

1点目と2点目に関しては関連もあるのですが、アポイント取得業務は主に電話やメールで行います。
しかし、電話して必ずアポイント取得できるかというとそうではなく、場合によってはゼロで終わる日もあるでしょう。
そのような業務を商談力のある営業スタッフにやらせるのは、営業リソースの使い方としてもったいないわけです。

また、昨今の新社会人は生まれ育った家に電話がなく、スマートフォンしか電話を経験していないという人がほとんどです。
よって、電話でのアポ取りを苦手とする人が多く、営業スタッフがそのような業務を行うことは年々非効率になっていっています。

インサイドセールスという電話やメール対応を特別にトレーニングしたチームを作り、営業スタッフをフィールドセールスとして商談に集中させることが効率的になってきているのです。

インサイドセールススタッフに必要なスキル

実際に、インサイドセールス業務を行うスタッフに必要なスキルについてです。テレマーケティングスキルやメールの書き方などという業務に必要なスキルではなく、業務を遂行するうえで内面的に必要なスキルを紹介します。

ストレス耐性

スキルとはやや違うかもしれませんが、テレマーケティングはストレスとの戦いです。全てのアポ取りコールでアポイントが取れるわけはなく、ほとんどが断られてしまいます。そのような状況に耐えられるストレス耐性が必要です。

探究心

アポイントがなかなか取れない場合、提案している商材がよほど悪いものでなければ、何かしらが正しく伝わっていないことが原因です。
よって、どういう言い回しだったら伝わるのか、また、ターゲットを少し変えたほうが求めてくれる相手が増えるのではないかなどというように、うまくいかない現状に甘んじることなく答えを見つけようとするマインドが重要です。

目標達成意識

インサイドセールススタッフに必要な内面的な必要スキルとして最後にご紹介するのが、目標達成意識です。
ストレス耐性が高くても、目標を達成できなければ意味がありません。また、探究心があっていろんなアイディアを試しても目標を達成できなければ、ただこねくり回しただけになります。
NGを言われることが多く、正解を見つける過程が長い業務だからこそ、強い目標達成意識が必要になります。

インサイドセールスチームのマネージャーに必要なスキル

続いて、一般スタッフを束ねるマネージャーについても、必要とされる内面的なスキルをご紹介します。

チームビルディング

インサイドセールスはストレス負荷が高い業務です。
よって、前向きに業務に取り組むような雰囲気作りを日頃から意識しなければなりません。
また、業務の特性として個人で考える時間が多くなりがちです。そのため、ノウハウを個人で溜め込み横展開しないようなこともありえます。
そうならないよう、チームとして業務に取り組み、良いノウハウは常に共有するという文化を作ることも重要です。

折衝力

インサイドセールスは、フィールドセールスの力になって初めて存在意義があります。
しかし、それが行き過ぎると、フィールドセールスのインサイドセールスへの要求水準はどんどん上る可能性がありますし、それに対してインサイドセールスが反発すると、両者が反目し、あるべき姿からかけ離れていってしまいます。
よって、両部署の間に立ち、全体として営業効率が上がるような関係性であり続けるよう立ち居振る舞わねばなりません。

インサイドセールスで設定すべきKPI

実際に、インサイドセールスが稼働し始めたら、どのようなKPIを設定すべきなのかご紹介します。
一本一本の電話の内容を確認することは現実的に不可能です。そのため、適切なKPIを設定し、その推移を日々見ることでチームのパフォーマンスに異常が生じていないか確認してください。

コール数

毎日どれくらいのコールがされているかという指標です。個人別、チーム別など考えうるすべてのパターンで算出してください。
それにより、誰が生産性が高いのか、どのチームが生産性が高いのか、つまりは、どのマネージャーが優秀なのか、などが見えてきます。

アポイント率

次に、アポイント率です。このアポイント率は、2種類の出し方があります。
1つが分母をコール数にする方法です。もう1つがリスト数にする方法です。

コール数を分母にしてアポイント率を見る方法では、インサイドセールススタッフの中で誰がコールが上手いか、ということを見るときに良い指標となります。
リスト数を分母にしてアポイント率を見る方法では、ターゲットとするセグメントの中でどこが反応が良いか、ということを見るときに良い指標となります。

よって、正確な分析には両方必要です。
担当者のコール数を分母にしたもの、各ターゲットリストのリスト数を分母にしたもの、両方算出しておきましょう。

初回商談からの案件化率

「はじめまして」という初回商談からどれだけ案件化したのかというのは、厳密には、フィールドセールス側のKPIです。
しかし、これはインサイドセールス側でも把握しておく必要があります。なぜなら、インサイドセールス側でコールのやり方を変えたりしたことで、このKPIに影響を与える可能性があるからです。
インサイドセールス側でも把握しておき、KPIに変動があった場合はフィールドセールス側と打合せを行い、一緒に原因究明と対策が立てられるようにしておきましょう。

再フォローからのアポイント率

フィールドセールスが商談を行って案件化しなかったものに対して、再度フォローを行ってアポが取れたかどうかを見る指標です。
これにより、適切なフォローができているのかがわかり、フィールドセールスからインサイドセールスに共有されている商談内容などが問題ないか確認できます。

インサイドセールスのKPI目標設定方法

どんなKPIを設定すべきかご紹介しましたので、それぞれのKPIの目標値についても紹介します。

コール数の適切な目標値

コールを行った際、担当者取次のために保留で待たされることがあります。
また、話した内容を記録するにも時間がかかります。ということは、1時間でコールできる本数は10~15件が一般的です。
よって、8時間勤務とすると80~120コールが1日のコール数の目標として適切です。
ただし、履歴を残さず、かつ、店舗など担当者とすぐに繋がる小規模企業へのコールの場合はもっと多くコールできますので、150件前後が適切な目標となります。

アポイント率の適切な目標値

アポイント率については、分母をコール数とする場合とリスト数とする場合で変わってきます。

リスト数を分母とする場合、3~5%が適切な目標値です。
この範囲に収まっていれば、スクリプトで商材の魅力がきちんと表現できており、ターゲット選定も正しく設定できていると言えるでしょう。

次に、コール数を分母とした場合ですが、仮にリスト数に対して5%のアポが取れる場合、100件リストがあればアポイントは5件となります。
そして、1つのリストにコールした際、担当者不在などで再コールすることがあります。
リスト1件につき、平均で2.5回コールするとした場合、100リストに対してのコール数は250コールです。
そこから5件のアポイントですから、コール数を分母としたアポ率は2%となります。よって、このような考え方で算出すると、コール数を分母とした際のアポイント率の適正値は1.5~2.5%程となります。

初回商談からの案件化率の適切な目標値

初回商談からどれくらい案件化しているかは、フィールドセールス側にデータがあるはずです。
そして、インサイドセールスと営業活動を分業することで、フィールドセールスの営業効率は上がっているか、同じ水準を維持しつつも案件化“数”が増えているという状況になっていなければいけませんから、インサイドセールス開始前の水準と同じかそれより少し高い水準を目標とすると良いと思います。

再フォローからのアポイント率の適切な目標値

フィールドセールスが商談を行い、うまくいかなくなった商談の再フォローからのアポ率ですが、リスト数を分母とした際に最初のコールでのアポイント率の適性値が3~5%でした。
これは、担当者名が無いリストにコールしていることを前提としています。
担当者名があるリストに対してのコールの場合、2%上乗せされ、5~7%が適正値です。

そう考えると再フォローでは、相手の担当者名がわかり、受付担当者に断られることもありません。
また、先方の状況も前回商談である程度把握している状態ですから、10%前後のアポイント率を設定しても問題ないと思います。
コール数を分母とした場合は、前述の計算式から鑑みて、その3分の1ほどの3%前後となります。

インサイドセールスの分析方法

KPIとその目標が定まったら、目標と現状を比較することでうまくいっているかいないかの分析ができるようになります。その際のポイントについて説明します。

コール数が悪化したときに考えられる原因

コール数が悪化しているとき、主に考えられる原因は以下のとおりです。
・インサイドセールススタッフのモチベーションの低下
・フィールドセールスの要求に答えすぎたことによるオペレーションの煩雑化

このどちらも、更に「なぜインサイドセールススタッフのモチベーションが下がっているのか」などという深堀りが必要なトピックです。
コール数が悪化した際には、その真相の原因にたどり着けるようメンバーにヒアリングするなど丁寧な対応が必要です。

アポイント率が悪化したときに考えられる原因

コール数が悪化していないのにアポイント率が悪化した場合、主に考えられる原因は以下のとおりです。
・リストの枯渇
・競合の出現など市場の変化
・フィールドセールスとの不和によるアポイント取得へのモチベーションの低下

これらの中でインサイドセールスチームのマネージャーとしての力量が試されるのが3番目の点です。
具体的にどのようなケースかといいますと、「アポイントの質が悪い」などというクレームがフィールドセールスからたくさん入るようになり、インサイドセールスがアポイントを取るのを尻込みするようなケースです。
マネージャーはフィールドセールスとうまく折衝するとともに、インサイドセールススタッフのメンタルコントロールを行う必要があります。

初回商談からの案件化率が悪化したときに考えられる原因

コール数、アポイント率ともに悪化していない中、初回商談からの案件化率が悪化した場合についてです。
前提として、この場合はフィールドセールス側に原因があることがほとんどですが、フィールドセールス側に問題がない場合は以下のことが考えられます。

・質の悪いリストを使わなければならないほどのリストの枯渇
・アポイント取得がこなれてきたことによる質が悪いアポイントの増加

1点目については営業戦略そのものの見直しが必要になるかもしれません。
インサイドセールスチームとして問題は2点目です。
継続してコールをしていると、「この言い回しがアポが取れる!」という効果的なフレーズが見つかることがあります。しかし、それで取れたアポイントは担当者の興味度合いが薄すぎて、ほとんど案件化しない、ということがあるのです。
そうすると、表面上はアポイント率が下がっていないのに改悪になっているということが発生します。
これを防ぐには、マネージャーは常に現場で勝手なスクリプト改変が行われていないかチェックする必要があります。

再フォローからのアポイント率が悪化したときに考えられる原因

最後に、再フォローからのアポイント率が悪化したときに考えられる原因は以下のとおりです。
・インサイドセールスに共有のない商談内容の変更

知らぬ間に商談内容が変わっていたら、フォローするときのロジックなどと整合性が取れなくなるのは当たり前です。最新の商談内容を確認し、アップデートが必要です。

インサイドセールスの効果的な運用方法

KPI、適切な目標値、KPI悪化の際の考えられる原因をご説明しました。最後に日々の運用に置いて抑えるべきポイントをご紹介します。

フィールドセールスとの連携

ここまで見てきたように、インサイドセールスとフィールドセールスの連携は営業活動全体がうまくいくかの生命線です。
よって、インサイドセールスチームのマネージャーは最低でも月に1回はフィールドセールスのマネージャー、可能であれば全メンバーとミーティングを行い、最新の営業状況を把握するとともに、インサイドセールス側からの主張があればそれもしっかりと伝えることが重要です。

インサイドセールスチーム内での抑えるべきポイント

インサイドセールスチーム内で気をつけなければならないのは、主に以下の2点です。
・メンバーのモチベーション管理
・現場レベルでの勝手なオペレーション変更

これらを防止するため、こちらは週に1回ほどの頻度で色々と意見をヒアリングする機会を設けるとともに、月に1回ほどの頻度で1on1を行うことも重要です。

インサイドセールスの将来性

ここまで読んでいただいた感想として、インサイドセールスの難しさを感じた方もいるかもしれません。
そのような場合は外注を検討いただくのも一つなのですが、間違いなく言えることは、インサイドセールスの重要性は上がることはあれど、下がることは無いということです。

先ほども書きましたが、これから社会に出てくる若者は物心ついたときからスマートフォンを持ち、連絡したい人にピンポイントで連絡をする、というコミュニケーションスタイルが当たり前となっている人たちです。
けんもほろろに電話を切られてしまうという経験はしてきていないですし、知らない人と電話越しで話す、ということさえしたことが無い可能性が高いです。

そのような社会人の割合が増えていくということは、電話にてアポイントを取ったり、状況をヒアリングしたりできる人たちの持つスキルは、年々特殊スキルとなっていくと言っても過言ではないでしょう。

 

そんな特殊スキル集団ともいえるインサイドセールスチームを社内に保有することは、将来的に大きな成長要因となるはずです。
ぜひ、取り組んでみてください。

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