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コンサルタントコラム

向いていないと考えながら営業職を続けている人は意外に多いのではないでしょうか?
しかし、その向いていないと感じる理由は、誤解や考え過ぎからくるものなのかもしれません。
実は可能性があるのに自分でその道を閉ざしていないか、ぜひチェックしてみましょう。
まずは「営業職」についての理解から
「営業に向いてない」と感じた方向けに、「ぜひこう考えて前向きになってほしい!」という内容を書こうと思っているのですが、そもそもの「営業職」の捉え方が異なっていると違った伝わり方をしてしまいますので、その辺りを最初に整理しておきたいと思います。
営業職という職種がお客様と接する職種であることはどの企業でも共通するところかと思います。しかし、目標とするKPIが企業によっては異なる場合があります。
すぐに思いつくものは“売上”で、これが一般的です。それ以外にも、営業職のKPIとしては、“成約数”、“顧客接触数”、“訪問数”など、お金ではなく、契約の本数にスポットライトを当てたものや、営業スタッフとしての稼働にスポットライトを当てたものがあります。
これらのKPIの設定の違いですが、その企業が営業している商材特性によって変わってきます。一度契約してもらえればそこからアップセルやクロスセルがもたらされるような商材の場合、売上よりも成約数にスポットライトが当たりがちです。
変に最初から大きな提案をして失注するより、小さくても取引が始まることでその後売上が伸びていくからです。
次に、毎月安定的に収益をもたらすような商材の場合、変に追加提案をして心象を悪くして解約されるより、いかに解約されずに使い続けてもらうかがポイントになります。
このような商材の場合はどれだけ顧客と接して不満などを解消しているかが重要になりますので、商談数や訪問数と言った行動量がKPIとなります。
このように、各商材によって最終目標となる適切なKPIが変わってくるのですが、こちらのコラムではこれらのKPIの中でも“売上”を最終目標として設定されている営業スタッフの方を想定して進めていきます。
営業活動に重要なプロセス→営業活動の種類
各企業における営業職の違いとしてKPIの違いに触れましたが、営業活動自体もいくつか種類があります。そして、その種類ごとに向いている人物像も変わってきます。
具体的な種類は以下のとおりです。
新規開拓
全くこれまで接点がなかった先を自社の顧客として開拓していく営業活動です。
ルートセールス
既存顧客を定期的に訪問し、現状の取引を維持、拡大させていく営業活動です。
法人向け営業
企業に対して商品やサービスを販売していく営業活動です。
個人向け営業
個人消費者向けに商品やサービスを販売していく営業活動です。
このように、営業活動には、新規か既存か、法人か個人かという大きな2軸があり、それぞれの組み合わせで4パターンの営業活動が存在します。
パターン1:法人向け新規開拓営業
今現在取引のない企業に対して営業活動を行っていく営業活動です。
取引がありませんから、テレアポや飛び込み、広告出稿など様々な手段を使って見込み顧客と接点を作るのが重要になります。
また、接点ができたら、「なぜその企業はこの商品に投資する必要があるのか?」と理路整然と説明し、先方社内で稟議などになってもしっかり提案が通るような資料などを準備する必要があります。
よって、このパターンの営業職を務める人は、どんどん新しい営業先と商談をするバイタリティやストレス耐性とともに、しっかりとしたプレゼンや提案を組むことができる論理的思考が求められます。
例:ウェブサイトをより良くしませんか?と提案するウェブ制作会社など
パターン2:法人向けルートセールス
今現在取引をしている企業に対して営業活動を行っていく営業活動です。
今現在のお困り事などをこまめに取り除いて取引が縮小、消滅することがないように務めることはもちろん、顧客の新たなニーズを察知し、追加提案などを行い取引拡大のチャンスを狙います。
よって、このパターンの営業職を務める人は、顧客のニーズを察知するアンテナ感度やお付き合いを今後も続けていきたいと思わせるホスピタリティ、ヌケモレのない対応を続けるきめ細やかさといったことが求められます。
例:スーパーに商品を定期的に納品している日用品メーカーなど
パターン3:個人向け新規開拓営業
今現在取引のない一般消費者に対して営業活動を行っていく営業活動です。取引がありませんから、テレアポや訪問販売、広告出稿からの来店誘致など様々な手段を使って見込み顧客と接点を作るのが重要になります。
また、企業に営業をかけて断られる時はお互い仕事中ですから比較的丁寧な応対をしてくれるのに対し、一般消費者が相手の場合、かなり手ひどく断られることもしばしばです。
よって、このパターンの営業職を務める人は法人向け営業よりもより強いストレス耐性が求められるとともに、理論的に営業するというよりかは仲良くなって買ってもらう感覚が強くなりますので、高いコミュニケーションスキルが求められます。
例:街中で声をかけるところから接点作りが始まる投資用不動産など
パターン4:個人向けルートセールス
今現在取引をしている一般消費者に対して営業活動を行っていく営業活動です。普段、我々が消費者として行動する場合、お金を使うシチュエーションのほとんどがこのパターンにあたります。初めて行くお店でお金を使うこともあるでしょうが、お店側としては再度来店して購入してほしい、つまりはある種のルートセールスにつなげたいと考えていることでしょう。また、ネット通販で購入するものなども同様です。私達が消費者としてお金を使う際、継続的に買ってもらうことを企業側は願っています。
例:普段の生活における消費行動のほぼ全て
そもそも「営業ができない」と思うのはなぜ?
自分は「営業ができない」と感じる人は、ほぼ間違いなく売上を上げることができていない状況でしょう。よって、売上が上がらない=営業ができないと考えるのは当たり前のことですから短絡的です。もう少し深ぼってみると、今、自分が従事している営業活動に自分自身がフィットしてない印象があるのではないでしょうか?
そのように感じた場合、まず見つめてみてほしいのは先述の営業の4パターンと自分の個性が合っているかです。主に、このような不一致が起こる可能性があります。
新規開拓向きかルートセールス向きか
例えば、体育会系的な気質は無いけど、求められることには精一杯誠実に対応したいと考える人がいたとします。もうおわかりの通り、この人は新規開拓ではなくルートセールスに向いています。逆に、成約を取ることにモチベーションが湧き、その後のケアには興味がないという人は新規開拓向きです。
個人営業向きか法人営業向きか
例えば、理論立てて物事を説明するのは苦手だけれど人当たりがよく、接していて気持ちが良い感覚になれる人がいたとします。もうおわかりの通り、この人は法人営業ではなく個人営業に向いています。逆に、一見付き合いにくそうという印象を与えるが、話してみるとわかりやすく的確にいろんなことを説明してくれるといった人は法人営業向きです。
このように、従事している営業活動と自分の個性が合っているかを今一度確認してみると何か糸口が見えるかもしれません。
営業ができない、と思う人がやってしまっていること
営業のパターンと個性の不一致以外にも営業が向いていない、営業ができないと思ってしまう人の原因があります。それは、営業について間違った考え方を持っている場合です。以下に代表的なものを紹介します。
「デキる」営業について間違ったイメージを持っている
“優秀な営業マン”と聞いてどのような印象を持つでしょうか?多くの人がビシッとした髪型、服装に身を包み、一度商談の席に着いたら最後、マシンガントークでまくしたてられて契約するまで帰してもらえない、というイメージを持っていないでしょうか?
このようなイメージの人物像にならねばと思うと、なかなか気が引けて自分は営業に向いてないと思いがちです。
しかし、本当の「デキる」営業スタッフはこのようなイメージではありません。清潔感のある出で立ちで自分都合でトークを行うのではなく、常に相手に合わせてトークを展開し、押し切るのではなくお客さん自身が契約したい、と思うように流れを作ります。
自分の問題ではないところを自分の問題と捉えている
「営業資料のこの部分が説明しにくくてなかなかうまくならない」
「いつも競合製品を引き合いに出されて、うまくそれに返せない」
「自分が作るリストはいつも的がズレており、営業してもニーズがない」
これらはすべて、本来は会社側が解決すべき問題です。具体的には、
・営業資料を説明しやすいように改訂する。
・競合製品より優位なポイントを研究開発で見出す。
・営業方針を明確にし、どういうターゲットに営業すべきか指示を出す。
という感じです。本来はエスカレーションすべき問題を自分の問題として抱えてしまい、向いてないと思わないように注意しましょう。
過度に意識して普段とは異なるコミュニケーションをしている
営業職に配属された人は、面接や普段の仕事ぶりでコミュニケーションが優れていると会社側が判断した可能性が高いです。
口下手で人見知りだとわかっていながら営業職に配属させる会社はこの世に存在しないでしょう。
そのような人なのに営業職になるとうまくいかない人の特長として、商談時など営業スタッフとして働くときに、普段のコミュニケーションと全く違うコミュニケーションをしているケースが散見されます。
「営業職のときはスイッチを入れないと」と本人は思うのかもしれませんが、これだと会社側の思惑とは全く違う結果になってしまいます。普段の自分に自信を持って、自分らしいコミュニケーションにするだけで解決するかもしれません。
考えても仕方ないことを考え続けている
「あの提案はあれで良かったのかな」
「もう少し値下げすべきだったかな」
「来週末に返答だけど、先方社内の稟議はどうなってるだろう」
このようなことを考えていて仕事が手につかないという営業職の方、過ぎたことは今更どうしようもありません。過去を色々と考えるのではなく、次の商談にフォーカスを当てて集中すべきです。
この切り替えをうまくするだけで、だいぶ営業職として働きやすくなると思います。
デキる営業がやっていること
では、実際にいわゆるデキる営業スタッフはどのような人でどのような特長があるのでしょうか?いくつかポイントをご紹介します。
自分の営業適性を疑わないので素の状態とキャラがあまり変わらない
まず、デキる営業スタッフは自分が営業職向きであることを理解しています。「それは結果を出したからそう思えるようになっただけでは?」と思う方もいるかもしれませんが、私は逆だと思います。
「配属されたからには自分は営業職に向いてるんだ。てことは、自分らしくお客様に接してみよう」そう考えることにより、自然なコミュニケーションができ、営業成績が上向いていったと考えられます。
不明点やうまくいかないところがあると自己完結せず上司に必ず相談する
営業活動を行っていると、こういう質問にはどう答えるんだろう?といった疑問はたくさん湧いてきます。そのような疑問を上司や先輩に相談せずに自分のところで答えを見つけてしまうと、その中のいくつかはベストな答えとは違うものになるはずです。その差の積み重ねが大きな結果の違いに繋がります。
デキる営業スタッフはそのことを知っており、生まれた疑問に対しては必ず自分の所属している営業チーム内のベストアンサーを探します。
無理に契約を取ろうとせず相手の状況に合わせる
今ではないと言っている顧客を無理に成約に結びつけようとしても、相手の心象は悪くなるばかりです。そうすると、待ってその時期になれば成約した案件を一つ失う事になります。
デキる営業スタッフは、あくまで顧客が動くタイミングでしか受注は生まれないと理解しており、その時をじっと待ちます。結果、失われる案件も少なくなりますので、継続的に受注するようになります。
約束したタイミングできちんとフォロー連絡をする
顧客が次に動くタイミングがまだ先な場合、間の時期に状況確認の連絡をしないと忘れられてしまう恐れがあります。
そのような際、「また○月の中旬くらいにお電話しますね」など、フォロー時期の約束を取り付けるのが一般的ですが、デキる営業スタッフはその時期にしっかりと連絡を入れます。その後に実際にそのフォロー先が案件化するか未知数です。
ですが、しっかり連絡を入れます。このマメさもデキる営業スタッフの特長です。
売上目標の達成は運ではなく日々の習慣の積み重ねであると理解している
デキる営業スタッフは、「あの大口案件があったからなんとか達成できた」ということは絶対に言いません。なぜなら、その大口案件を引き当てられたのも、また、もし大口案件がなくても達成できたであろうことも、全ては日々の習慣の積み重ねであると理解しているからです。
よって、デキる営業スタッフは作り上げた日々の習慣を守る大切さを知っており、淡々と日々の業務に取り組む事ができます。
営業がうまくいっている組織の特徴
最後に、今度は視点を変えて、会社側から見て営業活動をうまくいかせるためのポイントを紹介します。ここに記載してあるポイントを実践すれば、「営業に向いてない」と思う営業スタッフの発生を最低限にできるはずです。
そもそも営業適性があると日々伝えている
まずは営業職という仕事に自信をもたせる必要があります。よって、営業適性があるから配属されているということを日頃から営業スタッフに伝えます。
少しうまくいっていない営業スタッフに「お前は向いてない」なんてもってのほか。途端にモチベーションが下がり、離職の危険性すらあります。
「向いてるから配属されてるんだから、自分らしくお客さんに接してきなさい」このような発信を日々することが大切です。
営業資料を整備している
商談でのプレゼンを営業スタッフ任せにすると、当然ながら個人差が発生します。
よって、営業資料を整備し、営業資料を1ページ目から順に読んでいくだけで、一定程度のクオリティの商談が成立するように設計します。これにより、それなりにコミュニケーションスキルがある人がこの営業資料を使って商談をするだけで、案件が生まれてくるようになります。
適切な頻度で案件状況を確認している
まだまだ熟練度が低い営業スタッフは、フォロー時期を忘れたり、自己完結してしまい、可能性のある案件を捨ててしまったりといったことがありえます。
よって、営業職の経験値に応じて、毎日、毎週など、適切な頻度で上司が確認を入れ、芽がある案件が失われないようにしています。
なぜできなかったではなく次どうしたらできるかを大事にしている
「先週成約するといったのに、なぜ成約しなかった?理由を説明しなさい。」
「それじゃあ、理由になってない。その程度の理由であんなに強気で成約すると言ったのか?」
会議でこんな発言している人いないでしょうか?この議論の行き着く先はどこでしょう?
ただただこの営業スタッフが打ちのめされていくだけではないでしょうか?
サボっていた、手を抜いていたなら別です。しかし、全力を尽くして駄目だったのであれば、「そうか、失注したのか。今回の失注を受けて、今後ここを改善しようというポイントはある?」と、営業がうまくいっているチームは未来に目を向ける会話をします。
成長を実感できる工夫が張り巡らされている
人が頑張り続けられる最大の要因は、自分の成長を感じることにあると考えています。
良い例がゲームです。ステージをクリアすると少しずつ難易度が上がりますが、そのことにより自己成長を感じているから続けてしまうのです。
このように営業スタッフも自分が成長しているという実感を持つことができれば、モチベーションは切れにくくなります。
過去からのデータをいつでも見返せるようにする、同僚から定期的にフィードバックをもらうなどなど、方法は色々と考えられますが、成長を実感できる環境つくりが重要です。
いかがでしたでしょうか?様々な側面から営業に対して苦手意識を持つ方の気持ちや心持ちを変えることができればと思い、まとめてみました。
営業力は様々なスキルの集合体であり、人間力と言い換えても良いようなものです。
ぜひ、精一杯営業に向き合い、人として一皮もふた皮も剥けてほしいと思います。